それはまるで「窓」のようなもの。歯や歯ぐき、口の粘膜の状態を見ると、体全体の健康状態が分かります。しかも、口の中の問題が体の他の部分に悪影響を及ぼすこともあるのです。では、分かりやすく説明していきましょう。
■ なぜ口の健康が全身の健康に関係するのか?
- 口の中にはたくさんの細菌がいます。その多くは無害ですが、口は消化器(口から肛門まで食べ物が通る管)や呼吸器(空気が通る管)の入り口でもあります。そのため、口の中の細菌が体内に入り、病気を引き起こすことがあります。
- 正しい歯磨きやフロス、そして体の自然な防御機能によって、これらの細菌は通常コントロールされています。しかし、ケアを怠ると細菌が増え、虫歯や歯周病を引き起こします。
- 一部の薬(風邪薬、アレルギー薬、鎮痛剤、利尿剤、抗うつ薬など)は唾液の分泌を減らします。唾液は食べかすを洗い流し、細菌が作る酸を中和します。唾液が減ると細菌が増え、病気のリスクが高まります。
- 重度の歯周病(歯周炎)は、口の中に炎症を引き起こします。研究では、この炎症や細菌が他の病気と関係していることが示されています。また、糖尿病やHIV/AIDSなどの病気は免疫力を低下させ、口の病気を悪化させます。
■ 口の健康と関連する全身の病気
◆ 口の問題が体に影響する病気
- 心内膜炎(しんないまくえん):まれですが命に関わる病気。口の中などの細菌が血液を通って心臓の内膜に付着し、感染を起こします。
- 心臓病・血管疾患:口の炎症や細菌が心臓病、動脈硬化、脳卒中などに関係している可能性があります。
- 妊娠への影響:重度の歯周病は、早産や低体重児のリスクを高めるとされています。
- 肺の感染症:口の中の細菌が肺に入り、肺炎などを引き起こすことがあります。
◆ 体の病気が口の健康に影響するもの
- 糖尿病:感染に対する抵抗力が弱くなるため、重度の歯周病になりやすくなります。また、歯周病は血糖コントロールを悪化させることもあります。定期的な歯科受診は糖尿病の管理にも役立ちます。
- HIV/AIDS:痛みを伴う口内炎(粘膜病変)がよく見られます。
- 特定のがん:歯周病は、口腔がんや胃がん、腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、子宮がんなどと関連があるといわれています。
- アルツハイマー病:進行すると口の健康状態も悪化する傾向があります。
- その他の病気:摂食障害、関節リウマチ、シェーグレン症候群(唾液が出にくくなる自己免疫疾患)も口の健康に影響を及ぼします。
歯科医には、服用中の薬や健康状態の変化(例:新たな糖尿病の診断や最近の病気)を必ず伝えましょう。
■ 口の健康を守るためのポイント
- 1日2回、2分間歯を磨く:柔らかい毛の歯ブラシとフッ素入り歯磨き粉を使いましょう。舌も忘れずに!
- 毎日歯と歯の間を掃除する:フロスやウォーターフロッサー、歯間ブラシなどを使用(歯ブラシだけでは届きません)。
- 健康的な食事を心がけ、砂糖の摂りすぎに注意。
- 歯ブラシは3〜4か月ごとに交換(毛先が曲がったら早めに)。
- 年1回以上は歯科検診・クリーニングを受ける。 状況により、歯周病専門医(ペリオドンティスト)を紹介される場合もあります。
- タバコは吸わない(喫煙・噛みタバコなど)。
- 歯の痛み、歯ぐきの出血、長く続く口内炎などがあれば早めに歯科を受診。